病院の医療機器台数は公開されている?CT・MRIを含むデータを営業にどう使う

病院の医療機器台数とCT・MRIデータの営業活用を解説する記事のサムネイル

展示会やセミナーの案内、製品紹介、調査・分析など、医療機関を対象とした営業や企画に携わる中で、「どの病院に、どのような医療機器があるのか」を把握したい場面は少なくありません。

こうした検討を進める中で、CTやMRIといった医療機器の台数が、公的な公開データから確認できることをご存じの方もいるかもしれません。その代表的なものが「病床機能報告」です。

病床機能報告には、CT・MRIをはじめとする医療機器の台数だけでなく、職員構成や病床の機能区分、入院患者の状況など、医療機関の体制に関わる情報が幅広く含まれています。

この項目は、CT・MRIなどの医療機器の台数を把握することもできますが、それと同時に、『病院がどんな状態にあるか』を読み取ることにも役立ちます。

👉 本記事では、病床機能報告をそうした視点で捉え、営業や企画にどう活かせるかを整理していきます。

病床機能報告のデータから医療機関の設備状況や体制の特徴を読み取る考え方を示した図
病床機能報告のデータは、医療機関の設備や体制といった「状態」を読み取る手がかりになります

病床機能報告とはどんなデータか

病床機能報告は、医療法に基づき全国の医療機関が毎年提出している届出データです。地域医療構想を進めるための基礎資料として位置づけられており、医療機関の機能や体制を把握する目的で整備されています。

現在公開されている最新データは、厚生労働省の公式サイトにて「病床機能報告(令和6年度)」として確認できます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00008.html

病床機能報告の構成

施設票

病院全体を単位として提出される票で、医療機器の保有台数や、医師・看護師・診療放射線技師などの人員配置が記載されています。CT・MRIをはじめとする医療機器情報は、この施設票に含まれています。

病棟票(様式1)

病院全体を単位として提出される票で、医療機器の保有台数や、医師・看護師・診療放射線技師などの人員配置が記載されています。CT・MRIをはじめとする医療機器情報は、この施設票に含まれています。

病棟票(様式2)

各病棟の入院患者の状況に関する情報がまとめられています。

診療所票(有床診療所)

有床診療所を対象に、診療体制や病床の状況を整理した票です。

病床機能報告は、医療機器に特化したデータではなく、医療機関の体制や稼働状況を多面的に把握するための情報群として設計されています。

医療機器に関する情報

病床機能報告には、医療機関が保有している医療機器の台数が項目として含まれています。CT、MRIのほか、血管連続撮影装置、SPECT、マンモグラフィ、PET、PET-CT、PET-MRI、ガンマナイフ、サイバーナイフ、強度変調放射線治療器(IMRT)、Da Vinci(ダヴィンチ)を含む内視鏡手術用支援機器などが、台数ベースで報告されています。

※機器名やメーカー名までは記載されていません。

病床機能報告に掲載されている主な医療機器の種類を示したイラスト図
病床機能報告では、CT・MRIをはじめとするさまざまな医療機器の台数が把握できます

病床機能報告だけでは営業リストとして使いにくい理由

病床機能報告には多くの情報が含まれていますが、このデータ単体では営業活動に使いにくい側面もあります。

連絡先情報が含まれていない

病床機能報告には、住所、電話番号、診療科目といった、営業活動で必要となる基本的な宛先情報が含まれていません。

病床機能報告と基本情報の役割の違いを示した比較図
病床機能報告と基本情報は、役割が異なるデータです

表記ゆれが存在する

医療機関名には法人格の有無や略称などによる表記の違いがあり、他データと突合する際には一定の調整が必要になります。

病床機能報告と基本情報を突合する

病床機能報告を実務で活用する際の鍵になるのが、保険医療機関の基本情報との突合です。

基本情報とは何か

ここでいう基本情報とは、全国8つの地方厚生局が公表している、保険医療機関・保険薬局の届出情報を一覧化したデータを指します。医療機関名、医療機関番号、住所、電話番号、診療科目、開設者区分など、営業リストとして必要な項目が含まれています。 保険医療機関・保険薬局の届出情報を一覧化する方法については、以下の記事で詳しく紹介しています。

詳しくはこちら → 知る人ぞ知る、病院リスト・病院データベースの入手方法

突合の考え方

病床機能報告と基本情報は、医療機関番号や医療機関名といった共通項目を手がかりに突合します。医療機関番号を軸にしつつ、名称や所在地を補助的に使いながら段階的に照合することで、精度を高めていくことができます。

補足資料のご案内

病床機能報告や医療機関データを読み解いていくと、「どの病院に、どのように向き合うか」という視点が重要になります。

エグゼメディカルでは、病院営業に携わる方向けに、基本的な考え方や心構えを整理した資料『病院営業の作法』をご用意しています。データや手法の前に、病院営業の前提を整理しておきたい方は、参考資料としてご活用ください。

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作業負荷をどう考えるか

病床機能報告と基本情報の突合作業は、一度整備すれば再利用しやすい一方で、初回は一定の工数がかかります。更新頻度や社内リソースを踏まえ、どこまで自社で対応するかを判断することが重要です。 作業負荷や更新頻度を考慮すると、整備済みの基本情報を活用するという選択肢もあります。エグゼメディカルが販売している基本情報の内容や提供方法については、以下のページで詳しくご案内しています。

👉エグゼメディカルの医療機関リスト

まとめ

病床機能報告は、CT・MRIなどの医療機器の台数を把握できるだけでなく、医療機関の体制や特徴を読み取るための手がかりが詰まったデータです。ただし、営業や調査で活用するためには、基本情報との突合や目的に応じた整理が欠かせません。 医療機器メーカーに限らず、周辺サービス、人材、IT、調査といった分野でも、こうしたデータの読み方を理解しておくことで、企画や営業検討の精度を高めることにつながります

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