【2021年9月最新版】コロナ禍の医療現場で起きていること#1

<長引くコロナ禍の影響>

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が日本に来てから約1年半が経過しました。

新型コロナウイルスの影響は、第1波、第2波という感染拡大初期においては、相次ぎ出された緊急事態宣言の影響で「患者の受診控え」が生まれ、大幅に患者数は落ち込みました。
その後も、感染拡大の山と谷を繰り返す中、現在は第5波が収束に近づいていますが、「受診控え」も起きておらず、診療所の来院数への影響は少なくなってきています。

2021年に入ってからは、コロナ前の2019年の水準に戻ったという声も多く聞こえます。我が国において、2021年2月から始まったワクチン接種が順調に進み、新型コロナの治療に関するノウハウが蓄積されつつあり、国民の間に新型コロナに対する恐怖が薄れてきていることがその要因であると考えられます。

コロナで変わった「感染意識」

新型コロナによって、私たちの生活様式、それに伴う受療行動を大きく変化がもたらされました。

それは「感染対策」の徹底です。

マスク着用、手指消毒、3密(密集・密閉・密接)を避ける行動を当然のこととして守り続けています。
これはコロナ前とは明らかに異なる新常識と言えるでしょう。

病院、クリニックではこの感染対策を忠実に守り、受付には自動体温計、自動消毒器が設置され、スタッフと患者を区切るビニールカーテンが設置されています。
待合室でも、患者同士のディスタンスを十分にとれるように席が配置され、患者同士をパーテーションで区切っている場合さえあります。多くの病院、クリニックが感染対策を徹底し、医療機関を安心安全な場所と認識してもらうために必死に努力しているのです。

「とりあえず電話」が増えた

このように多くの医療機関は「感染対策」を行っていますが、患者に正しい情報として届かなければ効力はありません。

例えば、患者から「通院して危険はないか」「オンライン診療に対応しているか」といった電話が多くかかっているようでは、受付はその対応に追われてしまいます。
実際、2月にワクチン接種が開始されてから、受付への電話が飛躍的に増えたと聞ききます。

医療機関が保有する情報と、患者が知り得る情報の差、そして感染の恐怖が「とりあえず電話」というかたちで表出しているのでしょう。
この電話を減らすためにも、ホームページの活用は有効であると考えます。

ホームページの重要性が増している

長引くコロナ禍で、診療所のプロモーションのあり方も大きく変わろうとしています。

プロモーションとは患者への告知活動と言い換えられます。
現在は、電車などの公共交通機関を使わず、外出を避けリモートワークが増えています。
そのため、従来型の看板広告はほとんど作用しなくなってしまっているのです。実際に駅の看板の空きが目立つようになっています。この傾向は、都心部ほど顕著に起きています。

一方で、巣ごもりのためにWebサイトを見る機会が増えており、ホームページやSNSの役割がますます大きくなっています。
新型コロナウイルスが蔓延する前から、インターネットやスマホの普及により、その傾向は始まっていたのですが、このコロナ禍で一気に加速したと言えるのではないでしょうか。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、「(コロナ禍)で2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」と述べています。私たちが感じている以上に、IT化の波が急激に押し寄せているのです。

ホームページとSNSを組み合わせる時代

ホームページは、ユーザーに一方的な情報を提供するメディアであり、サイトに訪問しなければ情報を得ることはできません。
一方、SNSは、誰もが気軽に情報を発信できる「双方向」メディアです。
投稿側・閲覧側という垣根が極めて小さい点が特徴です。
そして近年では、検索エンジンよりもSNS内の検索機能で情報収集を行うケースも増えてきています。この傾向は、コロナ禍でさらに進んでいると考えます。

そこで、SNSとホームページを連携させることが重要になっています。
ホームページは検索エンジンからのユーザー閲覧を待つ「プル型メディア」であるのに対し、SNSはフォロワー(登録者)に対し、好きなタイミングで情報発信することができる「プッシュ型メディア」です。この両者の特性を活かすことで、マーケティング(告知)効果を最大化しようとする戦略です。

コロナ禍では、情報をインターネットから得る患者層が増えており、今後、クリニックの主流なマーケティング手法として、定着していくことが予想されます。
以下に、国内で普及しているSNSの年齢層と特徴をまとめました。患者の年齢層や性別などを考えながら、医師への情報提供へ有効に活用していただければと思います。

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プロフィール

コンサルタント紹介 大西大輔
大西大輔 (おおにし だいすけ)
担当分野
クリニックのICTプロダクトのマーケティング戦略

医療ICTの普及、基盤整備に貢献することで、全国民が、質の高い医療サービスを継続して享受できる社会を実現する。

経歴
過去3000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、医療系の公的団体を中心に講演活動および執筆活動を行っております。また、診療所・病院・医療IT企業のコンサルティング行っています。

2001年 一橋大学大学院MBAコース修了
2001年 医療系コンサル会社に入社
2002年 医療IT総合展示場「メディプラザ」設立
2007年 東京、大阪、福岡の3拠点を管理する統括マネージャーに就任
2016年 コンサルタントとして独立し、「MICTコンサルティング」を設立
2018年 MICTコンサルティング株式会社を設立(法人化)
2019年 一般社団法人リンクア(医院教育)を設立