「開業年数別件数」を意識したマーケティング
はじめに
クリニックの院長は日々様々な悩みを抱えながら運営を行っています。
例えば、ヒトの悩み(募集・採用・定着・教育)、資金繰り(借入・運転資金)、設備投資(医療機器、システム)、承継(跡取り・M&A)など悩みを挙げたらキリがありません。
この悩みは、「開業してから何年経ったか」で悩みの内容は異なります。
開業初期の悩みと、開業から5年~10年、開業から20年以降では悩みの内容が異なるのです。
開業初期
集患
開業初期におけるクリニックの最大の悩みは「集患」です。
ほとんどのクリニックが、開業前に診療圏調査などを行い、開業したらどれくらい患者が来るかは予想します。しかしながら、それは必ず当たるわけではありません。様々な要因があり、上振れも下振れもするのです。
患者がなかなか集まらなければ、手を変え品を変え対策が必要になります。
ホームページを見直したり、看板の位置を変えたり、どうすれば口コミが増えるかを考えたりと、様々なことに取り組みます。
また、予定通り順調に患者が増えていたとしても、いつ何時ライバルクリニックが出現するかもしれません。ましてや、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大など思いもしない出来事も発生します。
開業から3年から5年のクリニックの悩みは集患となるのです。
スタッフの定着
開業医の先生は、日ごろからヒトの悩みで頭を悩ませています。
例えば「スタッフが定着しない」「いつも採用活動をしている」「急に退職者が出て困っている」など、ヒトの悩みはつきません。
仮にオープニングスタッフが全く辞めずに人間関係も良好で順調に行っていても、スタッフは女性が多いため、結婚、出産、親の介護などの問題で離職せざるを得ないこともあるでしょう。よく「コウノトリが飛んでくる」などと表現されますが、複数の人が相次いで出産ラッシュになり、頭を抱えている先生方も見受けられます。
開業から時間が経って、何度もヒトの悩みを繰り返していくうちに、解決方法や採用ルートが確立していき、安定していきます。
開業初期に乗り越えなくてはならないのは、スタッフが定着する組織を構築することだと思います。
開業5年~
「患者の待ち時間」は様々な問題に派生
開業からしばらくして、有難いことに患者が増えてくると、今度は患者の「待ち時間」の問題が悩みとなります。
待ち時間の問題は、早くて3年目頃、遅くても5年目くらいから、人気のクリニックにとって共通の悩みとなります。
患者の待ち時間は、受付や待合室の混雑をもたらしますし、残業にもつながります。また、患者からのクレームも増えていくことでしょう。いまやネットが普及し、気軽に口コミを書く時代となりました。ネットの口コミは、待ち時間の不満で溢れています。
患者の集中によって待ち時間は発生し、さらに残業時間の増加にもつながります。
残業が増えれば、今度はスタッフの悲鳴が上がり、退職したいという機運が高まってしまいます。
そこで、順番管理システムや時間予約システムなどで待ち時間の分散を図り、キャッシュレスや自動精算機で会計の待ち時間を減らそうと考えるようになるのです。
医療機器・システムの買い替え
開業当初購入した「医療機器」や「システム」は、5年から10年でリースアップを迎えます。
リースアップの際に、そのまま同じメーカーの最新のものを使い続けるか、リースアップを機に買い替えるかを検討する必要があります。
当然満足していれば買い替えませんし、不満あればリースアップを待たずに買い替えたいと思うかもしれません。
どちらにせよ買い替えのタイミングは必ず来ますから、そのタイミングは医療機器やシステムの販売の上で販促上大切な時期と言えるでしょう。
開業20年~
承継問題
開業して20年も経つと、そろそろ将来のコトを考えるようになります。
子供がいれば跡を継がせたいと考えますし、子供がいなければ誰かにクリニックを譲りたいと考えます。
せっかく、長くクリニックを運営し、地域の住民からも必要にされてたという自負心によって、承継やM&Aを考えるようになるのです。
このタイミングも医療機器やシステム、そして建て替えなどが検討されるタイミングです。
開業年数で悩みは異なる
いつごろ悩みが発生するのかを意識して販促活動を行う
このように開業年数によって、クリニックの悩みは異なることが分かります。
ちなみに、ICTやデジタル化は、悩みを解決するツールですから、悩みがある方にPRして初めて情報が届き、心に響くことになります。
開業時期ごとの悩みを整理すると以下の通りです。
開業初期(~5年):集患、採用、スタッフの定着
開業中期(5年~10年):スタッフの離職、待ち時間、患者のクレーム、医療機器・システムの買い替え
開業後期(20年~):承継、M&A、医療機器・システムの買い替え、建て替え
以下の図は開業年数別のクリニック件数です。
6~10年目に少し落ち込みがあり、20年以降は減少傾向にあることが分かります。
6~10年目には、スタッフや患者の待ち時間の問題が持ち上がり、クリニック経営上の一つの山場を迎えます。
それらの問題を解決できなければ、残念ながら廃業を余儀なくされるという結果を表しています。また、20年以降は承継が始まり、家族承継、第三者承継など、代替わりが行われることで減少しているのでしょう。
まとめ
開業年数と悩みは密接にかかわっていますから、当然「営業リスト」を精査する際には、この「開業年数別件数」は意識して欲しいところになります。
自らの商品・サービスがどんな悩みを解決するのか、その悩みはいつごろ発生するのか、そういったことを意識して販促活動を行うことで、効果的なマーケティングが行えるのです。
営業リストの更新や、営業活動にお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。
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