プロダクトが顧客のニーズに合っているかどうかは、事業を成功させる上で最も重要であるということに異論はないでしょう。
一方で、あなたは顧客ニーズに合ったプロダクトを提供できていると言えるでしょうか?
私たちは上場企業からベンチャー、スタートアップ企業まで、幅広いお客様と向き合って仕事をしています。プロジェクトが始まり、状況を伺うと、プロダクト開発の初期段階で顧客ニーズの把握が十分でない企業がとても多いのが実態です。
医療業界では、顧客が医師や看護師であることから、専門的な知識が必要であるのに加え、ターゲットが多忙のため、なかなか話を聞く機会に恵まれないといった難しさがあります。
そのため、顧客ニーズを知ることのハードルは、他業界と比べて少し高いと言えるでしょう。
特にベンチャー企業で顕著なのが、プロダクトのリリース3か月で多くの企業が、ある“罠”にはまってしまうことです。
そこで、本記事では、この罠にハマってしまう理由を解説します。
ベンチャー企業が“罠”にハマるとどうなるか
この“罠”にハマると、その後の成長スピードが鈍化してしまい、資金調達も困難になり、事業計画と狂いが発生し、残念ながら早期に事業撤退の判断をするケースも見られます。
社会をより良くするために生み出されたプロダクトが市場に受け入れられないのは、私たちも残念でなりません。
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この記事を読むことで、資金調達もしやすくなり、事業のスピードを落とすことなく、着実な成長を目指すことができるようになります。ぜひ最後まで読んで正しいPMF(プロダクト・マーケティング・フィット)活動にお役立て頂ければと思います。
医療業界でベンチャー企業が3か月で陥りがちな失敗例
起業家は、開発したプロダクトを早期に市場へリリースし、浸透させ、シェアを拡大すること常に考えています。
急速なシェア拡大を目指すあまりプロダクトを顧客ニーズにフィットさせるPMF活動よりも、受注することに注力してしまいます。
投資家から資金調達をしている場合は、PMF活動よりも早期に顧客数を増やすことを重視してしまいがちです。プロダクトが出来上がると比較的すぐに事業計画との差異が生じてしまい、投資家から強いプレッシャーがかかってきます。
陥りがちな失敗例
顧客ニーズとのフィッテイングをせずにリリース
↓
すぐに顧客を増やそうと強引に営業
↓
受注ができない
↓
当初の事業計画と辻褄を合わせようとさらに強引な営業活動にシフトする
このようなケースでは、初期段階でユーザーを立て続けに数件、受注できたものの、それ以降は停滞してしまいます。投資家から、売れない理由を聞かれても明確に答えられない状況が続いていくパターンです。
このようにして、多くの医療ベンチャーがリリース後3か月で早々に「顧客数増大の罠」にハマっていきます。
営業工数を増やすというのはアクセルです。プロダクトが完成したのだから、アクセルを踏めばシェアが拡大できると思っている傾向がありますが、実はこの考え方は罠にはまりやすい危険な考え方なのです。
営業という名のPMFで顧客ニーズを掴み活用事例を生み出す
営業初期は、イノベーターを着実に獲得する段階ですので、残念ながらアクセルを踏んだ量に比例して顧客数が増えるわけではありません。この段階で必要な行動は、あなたのプロダクトの活用事例を増やすことです。
ここで言う活用事例というのは、単に導入件数のことではありません。あなたのプロダクトを顧客がどのような目的で、どのような業務フローで、どのような人員体制で使用し、どのようなメリットを享受しているのか、といった具体的な活用事例のことです。
活用事例は、仮にあなたの想定外の使われ方をされていたとしても無視してはいけません。当初の仮説通りに活用されるケースは実はとても少ないのが実態です。それは、顧客がまだあなたの想定に追い付いていないからとも言えます。どんなに良い開発思想であったとしても、それを受け入れられるまでには少し時間がかかるものです。革新的であればあるほど、顧客はなかなかそれを活用しようとは思いません。
本来、あなたが想定していなかった使われ方だったとしても、それを許し、あなたは顧客の考えに対して謙虚に耳を傾けなければなりません。その使い方は、顧客が現在置かれている環境下では課題解決になるという事実にプロダクト改善のヒントが隠されているからです。
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初期プロダクトが完成した後、実際に診療業務で使ってみなければ、真の顧客ニーズを明らかにすることはできません。反対に言えば、使ってみて初めて真のニーズを聞くことができるということです。
しかし、初期ユーザーに「聞いても答えてくれないだろう」と思って遠慮している企業がとても多いです。自分たちが立てた仮説が間違っているという事実は、誰しも目をそむけたくなります。勇気がなければ聞けないことかもしれません。
顧客の声に耳を傾けることの重要性
最近は、大手有名企業からベンチャー企業に転職する人が増えてきています。
そうした人がベンチャーに転職してもすぐには大手企業で身に着けた仕事の癖は抜けないようです。
有名企業に勤務していた人は、ブランド力のあるプロダクトを扱っているため、それほど努力しなくても活用事例が勝手に生まれていきます。ブランド力とはユーザーからの信頼です。信頼している企業が発売したプロダクトをユーザーが信頼し、購入し、自らの状況に合わせて勝手に工夫して使ってくれるのです。
しかし、いままで培った大手思考をそのままベンチャー企業に持ち込んでしまうと、なかなか活用事例が増えていかない現実にぶつかります。自身が大企業で得てきた成功体験に縛られていることに気が付いていないことがあります。
ここでの一番の問題点は、自社のプロダクトにどのような活用方法があるかといったことを聞く必要がないと思っていることにあります。自身の体験の中で、活用方法を聞いたことが無いため、謙虚に顧客に聞くという発想が生まれません。
一方で、大手企業の経験がなく、若い時期からベンチャー企業や中小零細企業で経験を積んだ人は、携わったプロジェクトはゼロからのスタートが殆どであり、ブランド力はありません。従って、顧客に「聞く」・「教えてもらう」という姿勢があたり前です。
顧客不在の事業計画で失敗するワケ
この罠の正体は一体、なんだろうかと思いめぐらせてみると、「顧客不在の事業計画」にある気がします。最初の志を投資家とも早い段階で共有し、あくまでも
・顧客ファースト
・顧客の現場のニーズファースト
・問題解決ファースト
の姿勢を貫く鉄の意志が必要です。
本来であれば、プロダクトリリース後ではなく、リリース前のフィージビリティスタディの段階で、ターゲット病院に接触し、様々な運用に対応するための準備をしておくと良いのですが、大体の会社がこれをやっていないため、いざ、リリースした後に「想定よりも売れない」という失敗が発生しているのです。
まとめ
・「顧客数増大の罠」にハマってしまうので注意
・投資家向けの事業計画が”罠”を誘発する
プロダクトリリース後3か月で生じる“罠”を回避することで、その後の成長スピードを落とすことなく、資金調達もしやすくなり、早期に事業成長を目指すことができるでしょう。
ぜひ、本記事を参考にして、正しいPMF(プロダクト・マーケティング・フィット)活動を実践頂ければと思います。
そして、営業リソースが不足しているなと感じたら、ぜひ私たちにご相談ください。
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