― 施設基準届出情報から読み取る医療機関の動き ―
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診療報酬改定のたびに、医療機関では新たな届出や体制整備が発生します。2026年度診療報酬改定でも、ベースアップ評価料、医療DX、データ提出、在宅医療など、さまざまな分野で制度変更や新たな対応が進められています。
制度資料を読むことで方向性を把握することはできますが、実際にどの分野で届出が増えているのかを整理すると、また別の見え方ができます。
施設基準届出情報には、医療機関が現在どのような体制整備を進めているのか、その一端が表れる場合があります。 今回の記事では、以下の3点の時期とフェーズに注目して施設基準届出情報を比較しています。

2025年12月は、2026年度診療報酬改定前の比較的平常時に近い時点です。一方、2026年3月から4月にかけては、改定施行を前に、医療機関側で新たな届出や体制整備が進みやすい時期でもあります。
そのため、この3時点を比較することで、診療報酬改定直前に、どの分野で届出増加が起きているのかを整理しやすくなります。
実際に全国の施設基準届出情報を整理してみると、ベースアップ評価料、医療DX関連、データ提出関連など、いくつかの分野で届出件数の増加が見られました。
もちろん、施設基準届出だけで医療機関の状況を断定することはできません。しかし、診療報酬改定直前の届出状況を見ていくことで、「病院が今、何に対応しようとしているのか」を読み取る材料として捉えることもできます。 本記事では、施設基準届出情報をそうした視点で整理し、営業やターゲット検討にどう活かせるかを考えていきます。
施設基準届出情報とはどんなデータか
施設基準届出情報は、保険医療機関が算定を行うために地方厚生局へ届け出ている情報です。
入院基本料や各種加算、在宅医療、リハビリテーション、医療DX関連など、多くの施設基準が含まれており、毎月更新されています。
診療報酬改定が近づくと、新設項目への対応や既存届出の見直しが進むため、届出状況にも変化が生じる場合があります。 施設基準届出情報は、単なる算定情報ではありません。どの医療機関が、どの分野に体制整備を進めているのかを読み取る材料にもなります
ベースアップ関連届出の増加
今回の比較で、特に大きな増加が見られたのが、ベースアップ関連です。 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は、以下の図のように増加していました。

2026年度診療報酬改定では、人材確保や処遇改善が重要なテーマの一つとして整理されています。実際の届出状況を見ても、医療機関側で賃上げ対応や体制整備が進められている様子がうかがえます。 医療機関にとって、現在の人材不足や人件費上昇への対応は、経営上の重要課題の一つになっています。こうした届出増加は、その対応が全国規模で進められている可能性を示す動きとして見ることもできます。
DX・データ関連届出の増加
DX・データ関連でも、いくつかの届出で増加が見られました。 例えば、医療DX推進体制整備加算は、図のように推移しています。

また、
- 在宅医療DX情報活用加算
- 外来データ提出加算
- 在宅データ提出加算
- リハビリテーションデータ提出加算
- 検査・画像情報提供加算及び電子的診療情報評価料
などでも増加が見られました。
2026年度診療報酬改定では、医療DXやデータ活用、情報連携が継続的なテーマとして位置づけられています。届出状況を見ると、実際に医療機関側でも、データ提出や電子的情報連携への対応が進められている可能性が見えてきます。 DXというと、大病院中心の話として捉えられることもあります。しかし、今回の届出状況を見ると、外来や在宅、地域連携の領域でもデータ化や情報共有が広がっている様子がうかがえます。
在宅・地域連携関連の動き
在宅や地域連携関連でも、届出件数の多い項目が確認できます。
例えば、
- 在宅時医学総合管理料
- 在宅がん医療総合診療料
- 在宅療養支援診療所
- 在宅医療情報連携加算
などです。
現在の医療政策では、病院完結型から、地域包括ケアや在宅連携を含めた体制整備への移行が進められています。 施設基準届出情報を見ると、こうした方向性に沿った届出が実際に増えていることも確認できます。
施設基準届出情報から見えること
施設基準届出情報を見ると、「どの加算があるか」だけでなく、「病院が今どんな状態にあるか」を読み取れる場合があります。
例えば、
- ベースアップ関連の増加
→ 人材確保・処遇改善対応 - DX関連の増加
→ 業務効率化・情報連携対応 - データ提出関連の増加
→ データ管理体制整備 - 在宅関連の増加
→ 地域包括・在宅シフト
といった形です。
もちろん、届出情報だけで医療機関の状況を単純化することはできません。しかし、制度データを継続的に整理していくことで、市場全体の方向性や、医療機関側の優先テーマを読み取りやすくなる場合があります。 制度改定の内容だけでは見えにくい部分も、実際の届出状況を整理していくことで、「病院が今、何に対応し始めているのか」を読み取りやすくなる場合があります。
施設基準届出情報を営業リストへどう活かすか
施設基準届出情報は、営業ターゲット整理の補助情報として活用できます。
例えば、
- DX関連届出がある医療機関
- データ提出体制を整備している医療機関
- 在宅・地域連携に注力している医療機関
などを整理することで、営業テーマごとの優先順位検討に活用できる場合があります。
制度データだけでは、「どの病院が今動いているのか」までは見えにくいこともあります。しかし、施設基準届出情報を継続的に見ていくことで、医療機関側の動きを読み取るヒントになる場合があります。
作業負荷をどう考えるか
一方で、施設基準届出情報は、実務で扱うには一定の負荷があります。
届出項目数は非常に多く、件数規模も大きくなります。医科だけでも、Excelの行数上限に迫る規模となっており、一般的な事務用PCでは処理が重くなりやすいケースもあります。
また、施設基準名称の種類も非常に多く、診療報酬改定に伴う新設・再編も発生します。
そのため、営業リストとして活用するためには、
- 基本情報との突合
- 不要項目の整理
- テーマ別抽出
- 継続更新
など、一定の整備作業が必要になります。
当社では、こうした施設基準届出情報も毎月統合・整理しています。基本情報リストへ施設基準届出情報を追加することも可能です。
まとめ
施設基準届出情報は、単なる算定情報ではありません。
そこには、「病院が今、何に対応しようとしているのか」が表れている場合があります。
今回の比較では、ベースアップ関連、医療DX関連、データ提出関連などで届出増加が見られました。これは、2026年度診療報酬改定直前に、医療機関側で実際に体制整備が進められている動きの一例として見ることもできます。
制度改定の内容そのものだけでなく、「実際にどの届出が増えているのか」を整理していくことで、市場の変化や、医療機関側の優先テーマをより具体的に読み取りやすくなる場合があります。 施設基準届出情報や医療機関データを営業戦略へどう活かすか整理したい場合には、ご相談ください。
次回予告
今回は、施設基準届出情報の推移を通して、2026年度診療報酬改定直前に、医療機関がどのような分野へ体制整備を進めているのかを整理しました。
しかし実際の営業活動では、「DX関連届出が増えているらしい」で終わるのではなく、「どの医療機関が、どのテーマに前向きなのか」まで整理する必要があります。 次回は、施設基準届出情報や公開情報をもとに、「今動いている病院」をどのように見つけ、営業ターゲット整理へ落とし込んでいくのかを、具体例を交えながら整理してみたいと思います。

