電子処方せんが令和5年1月26日運用スタートしたことで、今後一気に医療現場の電子化が進むと期待されています。
日々、医療業界を専門に営業支援をする私達もこの波に乗り遅れないよう注目しています。
「電子処方せん運用スタート」と言っても、対応する医療機関は少なく、これから徐々に普及していくようです。
本記事では、電子処方せんとは? から 現場の実情までを紹介します。
電子処方せんとは?
これまで紙で発行していた処方せんを電子化したものです。
電子化によって患者さんは、スマートフォンからマイナポータルを通してお薬を確認することができます。
いつからスタート?
令和5年1月26日から、準備の整った医療機関・薬局で利用ができるようになりました。
電子処方せんは、データヘルス改革の一環
オンライン資格確認等システムなどの仕組みを基盤として医療情報を連携するサービスの一つです。
主なステップ
①オンライン資格確認の導入(基盤)
②電子処方箋の導入 医療機関・薬局、患者間の連携
③医療情報の拡大 検査結果情報なども連携
参考:そうだったのか、電子処方箋
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000975529.pdf
対応施設数/電子処方せんを発行できる施設数/手続き中の施設数
①対応施設数
208施設
電子処方せん対応の薬局・クリニック・病院・歯科のリストを令和5年1月26日に厚労省が発表しています。
※令和5年1月29日 リスト更新
対応施設数 内訳/施設数(全体)の比較
区分 | 対応施設数 | 施設数(全体) | 導入率 |
薬局 | 187 | 61,121 | 0.306% |
クリニック | 13 | 89,053 | 0.015% |
病院 | 6 | 8,161 | 0.074% |
歯科 | 2 | 67,759 | 0.003% |
合計 | 208 | 226,094 | 0.092% |
情報基
導入件数:厚生労働省 令和5年1月29日時点
施設数:厚生局 医療機関届出情報 令和5年1月
②電子処方せんを発行できる施設
19施設 厚生労働省発表:令和5年1月26日時点
③手続き中の施設数
3万170施設
1月15日までに全国の病院や診療所、薬局の計3万170施設でシステムの導入の手続きが行われていて、準備が整い次第、順次運用が始まる予定です。
①②③を合計し、全体の施設数と比較すると約1割程度にとどまることが明らかになりました。
参考:電子処方せん対応の医療機関・薬局についてのお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_taioushisetsu.html
電子処方せんのメリット
次に、電子処方せんのメリットを医療機関・薬局側、患者側、国にわけて見ていきます。
医療機関・薬局側
・お薬情報の共有
・お薬と重複投薬/併用禁忌にあたらないかチェック
・問い合わせ件数の削減
・レセコンへの手入力の負担、補完・管理作業削減
患者側
・はじめて訪れる医療機関でも医師や薬剤師が過去の処方調剤情報を参照できる
・お薬と重複投薬/併用禁忌にあたらないかも今まで以上に抑えられるようになる
・オンライン診療でも郵送・FAXで処方せんを送る手間がなくなり便利なる
国
・お薬のもらいすぎを抑えることで医療費の削減につながる
参考:
そうだったのか、電子処方箋
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000975529.pdf
厚生労働省 電子処方せん(国民向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_kokumin.html
運用開始の準備
医療機関・薬局側
・オンライン資格確認の導入
・HPKIカードの取得
患者側
・マイナンバーカードの取得
便利になる反面 技術的な課題もあり 今は過渡期
前文でも触れたように実際に運用がはじまっている医療機関はごくわずかです。
電子処方せんを発行する為にはシステム改修が必要ですが、厚生労働省によるとエンジニアの人手不足で改修のめどが立たないケースが出てきているとのことです。
電子処方せんを活用することで、診療・調剤を効率的に行うことができるメリットがある一方で、技術的な課題を乗り越える必要があります。
今後の電子処方せんの利用においては、過渡期として、技術的な課題を解決し、診療内容や薬剤情報などを正確かつ迅速に管理する体制を構築することが必要となるでしょう。
まとめ
今後、一気に加速すると期待される医療施設のデジタル化。この波は大きなビジネスチャンスとなるでしょう。
私達も日々動向をチェックし随時メルマガでもお知らせしていきますので、ぜひ登録頂ければと思います。
本記事を作成するにあたり、厚生労働省・地方厚生局が発表する関連データを紐づけ分析しています。
『保険医療機関・保険薬局の指定一覧』(毎月更新)※厚生局により名称が異なります。
『そうだったのか、電子処方』
『電子処方せん(国民向け)』
弊社では、医療機関の全体像を把握できる『保険医療機関・保険薬局の指定一覧』(47都道府県に分かれるファイルを全国一覧化)を厚生局の更新にあわせ、2016年から毎月作成しています。(以下、病院リスト)
この病院リストに、今回取り上げた『対応施設数一覧』(掲載内容:都道府県名・区分・医療機関コード・電子処方箋の運用開始日・医療機関名称・住所・電話番号)を紐づけると、医師数・病床数・代表者名・開業年数・診療科名を知ることができ、自社の生産性を高める戦略を立てる材料とすることも可能です。
電子処方せんが普及する事で、オンライン診療・オンライン服薬指導を受ける患者・家族にとって負担が減り、大きなメリットとなります。
そこで、医療機関向けサービスを提供する企業の立場で考えると、
オンライン診療の届出を出している医療機関、オンライン服薬指導の届出を出している薬局
(情報基:地方厚生局 施設基準届出情報)
を知ることで自社のターゲットにセグメントすることが可能になり、戦略を立てる材料となります。
『対応施設数一覧』 『オンライン診療の届出を出している医療機関』『オンライン服薬指導の届出を出している薬局』と紐づけたい等、リストについてお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
コラム
電子処方せんが普及する事で、患者・家族は病院・薬局へ行かなくても医療を受けられるようになります。筆者も親の介護を経験していますので、時間とお金をかけ、体力をすり減らし、命を削るような思いで行っていた病院へ行く回数が減ることは、大袈裟ですが 患者と家族の幸せ につながると感じます。まだまだ多くの課題があり、普及するには時間を要するように思いますが、自分の立場で医療のデジタル化に貢献に繋がるはたらきかけを続けていきます。
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