インサイドセールスの手法<前編>

実践方法を交えて詳しく解説

本記事では、医療業界でインサイドセールスを実践する方法や注意点について解説していきます。

インサイドセールスと従来型営業の違い

まず、インサイドセールスと従来型営業の違いについておさらいしていきます。

インサイドセールスは、従来型の営業フローと異なるため、新たに営業フローを設定する必要があります。これまでの営業スタイルは、新規開拓から商品やサービスの説明、提案、クロージング、受注後のサポートまでを、基本的に一人の営業が担当していました。さらにその業務の合間に、新規開拓をしながら既存顧客のサポートを行うというのが、従来型の営業スタイルです。
しかし、現代の営業スタイルでは営業のフローを以下の部門へ細分化し、各部門へ設定した目標指数(=KPI)を追いかけていくことが、新たな営業スタイルとして浸透しつつあります。

・マーケティング (新規顧客発掘)
・インサイドセールス (内勤営業)
・フィールドセールス (外勤営業)

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マーケティング

マーケティング部隊のゴールは『見込み顧客を発掘すること』です。展示会やセミナーの開催、Web広告やメルマガなどにより新規の見込み顧客(=リード)を発掘します。
KPIは見込み顧客数となります。

インサイドセールス

インサイドセールス部隊のゴールは、発掘された見込み顧客を『案件へ成長させること』です。電話やメール、最近ではWeb会議などを駆使して、リード(=見込み顧客)へ直接コンタクトをとり、ホットリード(=購買意欲の高い顧客)へと成長させる(案件化する)こと(=ナーチャリング)が役割です。
KPIは案件数となります。

フィールドセールス

フィールドセールス部隊、いわゆる外勤営業のゴールは『案件を受注すること』です。インサイドセールスから受け取ったホットリードへ訪問し、クロージングを行います。
KPIは受注数です。

このように、インサイドセールスとは、これまでの営業スタイルとは異なるため、営業フローを新たに設定する必要があります。

インサイドセールス責任者の任命と社内合意

インサイドセールスを導入するためには、まず責任者を任命する必要があります。

インサイドセールスとフィールドセールスの両方を取りまとめられる人材が必要となります。
任命されたマネージャーが、インサイドセールスに適した営業フローを設定します。インサイドセールスがどこまでリード(見込み顧客)をナーチャリング(育成)するか、リードをどういう状態にまで育てたらフィールドセールスへ引き継いでいくのか、などの役割を明確化します。それにより、どのような営業フローにするかが自然に見えてくるようになります。

また、社内での体制を整える前に、まず社内全員に合意をとることが重要です。

なぜなら、一人でも反対する社員がいると、少しうまく行かなかっただけで不平や不満をあげ、全体の士気を下げる要因につながるからです。全員の合意が取れたのち、社内体制の準備に取り掛かってください。

インサイドセールス責任者に任命されたが、医療営業をどう進めていけばいいのか不安な場合はぜひご相談ください。

インサイドセールスの営業フローの設定

営業フローを設定するためには業務を細分化し、リストアップしていく必要があります。

インサイドセールスの役割は、リード(見込み顧客)をナーチャリング(育成)することです。
マーケティング部門が、展示会の開催やWeb広告などで獲得したリードに対して、インサイドセールスでリアルセミナーやウェビナーを企画し、集客のためにFAXDMを送信します。その際に、集まってくれた顧客がリード(見込み顧客)になります。
そのリードに対して、後日改めて電話でアプローチをしたり、郵送DMを送ったりなどの活動をします。さらに、ルールとして電話のアプローチは100%実施する、郵送はコストがかかるため資料請求の要望がある顧客だけに対して送る、などを取り決めます。

このように、インサイドセールスの活動をブレイクダウンし、どのような流れでどのような活動を行うかという『営業フロー』を設定しましょう。

インサイドセールスの評価基準を設定

インサイドセールス部門の活動において、売上の達成やスタッフのモチベーション向上のためには、評価をどのようにするかという基準を明確にする必要があります。

フィールドセールスの目標指数(=KPI)は『受注数』と、とても明確であるのに対し、インサイドセールスの目標値であるKPIの設定は、企業(商品やサービス)によって様々です。とは言え、インサイドセールスの活動は、全てにおいて数値化をしやすいので基準は明確にしやすいです。

例えば、リードに対して1,000件の電話をして、そのうち3件のアポイントを取得することを目標とした場合、アポイント取得のKPI(目標値)は0.3%となり、これを基準とすれば良いのです。
また、テレマにおいて対象リード100%のうち、3%のアポイントを取得するというKPIを設定した場合、残りの97%についてどのような目標を立てるかとなります。例えば、完全に見込みがない顧客は10%に抑えることを目標にする、そして残りの87%はナーチャリングに回すなどを取り決めます。
ナーチャリング対象の87%のリードに対しては、週一回のステップメールを送信し、離脱率を5%に抑えて、3ヶ月以内には商談にもっていくなどのように、目標を数値化して設定していくことが重要です。

最終的には受注率、受注数、受注数x単価で売上になるので、それを目標にあててみると、この全体のフローの中で、各セクションで何%ずつ設定していかないと、その目標は達成できないということが分かります。

営業フローの全てをKPIの対象としてしまうと、混乱してしまうので、重要な項目だけをピックアップして数値化し、KPIを設定していきます。

営業シナリオの決定

フィールドセールスがクロージングを行う際に、どのように活動をするかというストーリーやシナリオを決定しておく必要があります。

なぜなら、従来の営業スタイルでは、シナリオは直属の先輩や上司から口頭で教えてもらい、さらに上司によってスタイルが違うという現象も散見されました。
しかし、現代では効率化を図るため、部署として一つのストーリーを作成し、それを全員が実践していくというのが一般的なスタイルになっています。
なぜなら、今の20~30代はマニュアル世代と言われているからです。
上司から口頭で教わったり、先輩によって教わる内容が違ったり、またそもそもマニュアル化されていなかったりすると、「この会社レベルが低いな」と思って退職してしまうのです。そういう意味でも、マニュアル的に使えるように、部署として統一したシナリオの作成が人材不足の昨今ではとても重要です。

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また、効率よくPDCAを回すためという理由もあります。営業が10人いた場合、それぞれが好き勝手に営業してしまうとPDCAが回せなくなります。もしムリにでも回すとしたら、一人ひとりがそれぞれ別のPDCAを確率して実施しなければなりません。
昔ながらの営業スタイルでは、PDCAを自分で回せる人が結果を出していました。しかし、現代では10人が同じストーリーで営業して、PDCAを10人で回していくことが大切です。なぜなら、それによって10人全員が同じように成長し、それぞれ成果を上げることができるようになるからです。

したがって、新しい営業フローはナーチャリング部隊とクロージング部隊を分け、フィールドセールスでは、こういったシナリオでクロージングすると全社的に決めていくことが重要です。
それにより、フィールドセールスがどんな話をするかをインサイドセールスが把握できるようになるので、電話でナーチャリングをする際「後日、フィールドセールスからこのような説明をします」というトークスクリプトが設定できるのです。そういった、会社として『一気通貫した矛盾のない営業』をすることにより、顧客も「統率ができているな」「矛盾がないな」と感じてもらえるメリットがあります。

また、新しいメンバーが入社した場合、統一されたシナリオやストーリーで研修を行うことによって、育成期間を短縮できるメリットがあります。
逆に、急に退職者が発生した場合、新しい人を採用しても教育期間が短いため、営業グループ全体のパワーが急激に落ちるリスクが軽減されます。
したがって、事前にセールスストーリーやシナリオを作成しておくことが、非常に重要になってきます。

まとめ

インサイドセールスを実践する順番
①責任者の任命と社内合意
②営業フローの設定
③評価基準を設定
④営業シナリオの決定

後編ではインサイドセールスにおけるリードの獲得方法について解説いたします。

インサイドセールスをどう進めていけばいいのかお悩みの場合はぜひご相談ください。

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