経営判断のための市場調査の例
中長期の経営戦略を検討するために例えば、SWOT分析の精度を高める時にはこのように仮説を立て、それを確かめる調査を行うことができます。
ここでは、仮に問診システムのメーカーが自社の事業領域を軸にSWOT分析を行う場合、以下のような仮説を立てます。なお、この仮説の粒度は一番粗いものです。さらにテーマを絞って仮説を立てると、もっと細かい粒度でのさらに具体的な仮説検証ができるでしょう。
<SWOT分析を使った仮説の一例>
【S(Strengths)- 強み】
自社の問診システムは、高い信頼性と精度があるため、医療機関から高い評価を得ている。
自社の問診システムは、顧客のニーズに合わせたカスタマイズが可能であり、顧客満足度が高い。
【W(Weaknesses)- 弱み】
自社の問診システムは、導入コストが高く、一部の医療機関にしか導入されていない。
自社の問診システムは、新しい機能の開発に遅れがあり、競合他社に比べて機能的な差別化が図れていない。
【O(Opportunities)- 機会】
医療分野におけるICTの進化に伴い、問診システムの需要が拡大している。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、遠隔診療の需要が増加しており、問診システムの需要が拡大している。
【T(Threats)- 脅威】
競合他社から新しい問診システムが開発されている。
医療費削減のため、医療機関が問診システムの導入を控える傾向がある。
このような分析を行うことで、自社の強みや弱みを把握することができ、市場の機会や脅威を分析することができます。
自社の問診システムの弱みとして、導入コストが高いことが挙げられます。この弱みに対して、自社の問診システムをクラウド型かつリモートセットアップ、リモートサポートに力を入れることで、導入コストを抑えることができるかもしれません。
また、自社の問診システムの機能的な差別化が図れていないことを改善するために、新しい機能の開発や提供するサービスの拡充を検討することも重要です。
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既存顧客へのアップセルを検討する時の市場調査の例
アップセルとは、当該製品に付随するオプション製品や機能を追加で買ってもらうことです。既存顧客へのアップセルの可能性を広げたい場合、以下のような仮説に基づいて市場調査を行うことができます。
(1) 顧客のニーズを理解する
顧客が何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを把握するため、顧客の意見やフィードバックを収集することが必要です。また、競合他社が提供している類似の商品やサービスを調査することで、顧客が求めているものが何であるかを把握することができます。
(2)既存の製品やサービスの改善点を把握する
既存の製品やサービスに対して、どのような改善点があるかを把握することで、アップセルの可能性を広げることができます。顧客からのフィードバックや競合分析によって、既存製品やサービスの改善点を把握することができます。
(3)顧客の購買行動の傾向を分析する
顧客がどのようなタイミングで商品を購入しているのか、どのような商品を一緒に購入しているのかなど、顧客の購買行動に着目して分析することで、アップセルの可能性を広げることができます。
(4)価格帯の調査を行う
アップセルの可能性を広げるためには、価格帯についても調査が必要です。価格帯によって、顧客の購買行動にどのような影響があるのかを調査することができます。
以上のような仮説に基づいて市場調査を行うことで顧客ニーズを把握することができ、アップセルの可能性を広げることができます。
既存顧客へのクロスセルを検討する時の市場調査の例
クロスセルとは、当該製品とは異なる製品やサービスを既存顧客に追加で買ってもらうことです。クロスセルの可能性を広げるためには、以下のような仮説に基づく市場調査が有効です。
(1)顧客のニーズの理解
既存の顧客に対して、アンケート調査や顧客データ分析を行い、自社製品以外のどのような商品やサービスを求めているか、またどのような行動を取っているかを理解します。これにより、彼らが興味を持つ可能性の高い追加商品やサービスを見つけることができます。
(2)製品やサービスの関連性の分析
既存製品やサービスを分析し、お客様が同時に使用する可能性の高い商品やサービスを見つけます。たとえば、読影システムの場合、システムと高精細モニターと読影専用デスクとAmivoiceなどの音声入力デバイスをセット販売することができます。
(3)顧客の購買行動の理解
既存顧客に対して、病院ごとにどのような購買プロセスを踏んでいるのか。新製品の情報入手方法や院内での稟議申請の手順、年間予算規模、院内での意思決定権者の影響力マップなどを掴み、購買プロセスに見合った提案を見つけることができます。
これらの仮説に基づいた市場調査を実施することで、クロスセルの可能性を広げるための新しい戦略やアイデアを見つけることができます。
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将来の市場成長性を予測するための市場調査
病院市場と言っても広いですので、あるカテゴリーに絞ったうえで将来の市場成長性を予測する際にも、市場調査が役立つでしょう。
<調査の一例>
・同業他社の市場成長率の推移を調査する
・今後数年間で新たに参入する企業や既存企業の新製品・サービスの発表予定を調査する
・製品やサービスの需要が増える見込みのある地域や産業分野を調査する
・経済の動向、政策変更、技術革新など、マクロな要因について調査し、市場成長にどのような影響を与えるかを分析する
・アンケート調査を実施し、病院経営者の購買意欲や嗜好に関する情報を収集する。
まとめ
以上のように、市場調査や分析を継続的に実施し、その結果に基づいた改善を行うことで、自社の事業成長を促進することができます。
・市場のニーズを把握できる
・競合状況を把握し、自社製品の強みや弱みが明確になる
・新しい市場や顧客層を発見できる
・販売促進や広告戦略の効果を測定できる
・新たなビジネスチャンスを発見できる
・自社製品やサービスの改善点を発見できる
・リピート率や紹介率を高めることにつながる
・市場調査の設計には仮説が必要
ぜひ、あなたの会社が成長し続けるためにこまめな市場調査を実施してみてください。市場調査の設計や具体的な実施方法に課題をお持ちの方はお気軽にご相談ください。
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